喜多川歌麿「ポエム事件」(写真の著作権)

プロカメラマンが撮影した「浮世絵(著作権切れ)の写真」を、無断で本の表紙に使用したことが争点となった事件です。

  • 争点: すでに著作権が消滅している美術品(浮世絵)を撮影した「写真」に、新たな著作権が認められるか?
  • 判決: 裁判所は、単なる複写(コピー)ではなく、照明や構図、シャッタースピードなどに撮影者の創造性(工夫)が認められる場合、その写真には独自の著作権が発生すると判断しました。
  • 教訓: 「元の作品の著作権が切れているから、その作品を撮った他人の写真を自由に使っていい」というわけではありません。

ときめきメモリアル「メモリーカード事件」(同一性保持権)

ゲームソフトのパラメータを勝手に書き換える「改造データ入りメモリーカード」を販売した業者が訴えられた事件です。

  • 争点: ゲームのストーリーやキャラクターの数値を勝手に変えることは、著作者人格権(同一性保持権)の侵害にあたるか?
  • 判決: 最高裁は、ストーリー展開を改変するような行為は著作者の意図に反する改変であり、同一性保持権を侵害すると認めました。
  • 教訓: プログラムそのものを書き換えなくても、その出力結果(ストーリー体験)を著しく変えてしまう行為は法的リスクが伴います。

ギャロップレーサー事件(パブリシティ権)

実在する競走馬の名前を無断でゲーム内に登場させたことに対し、馬主が「氏名・名称の独占権(パブリシティ権)」を主張して争った事件です。

  • 争点: 競走馬(物)の名前に、人間と同じような「パブリシティ権(顧客吸引力を排他的に利用する権利)」が認められるか?
  • 判決: 最高裁は、「物の名称」にはパブリシティ権を認めないという判断を下しました。
  • 教訓: 現在の日本の法律では、有名な「物」や「動物」の名称を無断で利用しても、パブリシティ権侵害にはならないとされています。(ただし、商標登録されている場合は商標法で制限されます)

⇨上記の各事例は、知的財産を扱う場合において「どこまでが自由で、どこからが権利侵害か」を判断する重要な指針となっています。

著作権トラブルの類型まとめ

事例名争点となった権利結論のポイント
ポエム事件写真の著作物性撮影者の工夫があれば、写真に独自の権利が宿る。
ときメモ事件同一性保持権データの書き換えによるストーリー改変はNG。
ギャロップレーサーパブリシティ権「物(馬)」の名称にパブリシティ権は認められない。

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Satoshi Maruyama