主たる扶養者が「永住者」になったら?家族の在留資格変更(家族滞在 ⇒ 永住者の配偶者等・定住者)における4つの重要ポイント

就労ビザ(高度専門職や技術・人文知識・国際業務など)で在留していた外国人の方が「永住許可」を取得された際、一緒に日本で暮らしている家族(在留資格「家族滞在」)の手続きを失念していませんか?主たる扶養者が永住者になると、その配偶者や子どもは「家族滞在」のままでいることはできず、それぞれ「永住者の配偶者等」や「定住者」への在留資格変更許可申請を行う必要があります。今回は、この変更申請において実務上よく受ける4つの疑問について、入管審査の傾向を交えて徹底解説します。


① 期限切れの外国政府発行「証明書」は使える?添付書類の注意点

身分系の在留資格変更では、婚姻や親族関係を証明する書類(本国の結婚証明書や出生証明書など)の提出が必須となります。ここでよく問題になるのが「書類の有効期限」です。

原則と実務の判断

日本の入国管理局が指定する提出書類(課税証明書や住民票など)は、一般的に「発行から3ヶ月以内」のものが求められます。本国の政府や大使館が発行した証明書に「有効期限3ヶ月」と明記されている場合、期限切れの書類をそのまま提出すると、原則として再取得を求められる(補正指導が入る)可能性が極めて高いと言えます。

実務上の対策

  • 日本で出生した子どもの場合: 日本の市区町村役場ですぐに取得できる「出生届受理証明書」や「住民票(全事項記載)」を提出することで、親子関係の証明として十分に機能します。
  • 外国で出生した家族の場合: 大使館等で最新の証明書を再取得するのが確実です。ただし、どうしても再取得に時間がかかり在留期限に間に合わない等の事情がある場合は、過去の書類に「再取得が困難である理由書」を添えて先行して申請し、後から追完(追加提出)する形式をとることも検討します。

② 婚姻期間が長い夫婦でも「SNSの通話・チャット履歴」は必要?

「永住者の配偶者等」の申請では、偽装結婚を防ぐ観点から「夫婦間の交流を証する資料(SNSの履歴や写真)」の提出が求められることがあります。

婚姻・同居の「実績」によるボリュームの加減

新規入国や結婚して間もない夫婦の場合、交際の信ぴょう性を証明するために大量のチャット履歴(数ヶ月~1年分、週に数回のやり取りをA4用紙数十枚分など)やスナップ写真が必要です。しかし、「すでに婚姻歴が10年以上あり、日本国内でも長年同居している実績がある」という場合、入管側の主たる着眼点は「現在も婚姻関係が実態を伴って継続しているか(形骸化していないか)」に移ります。

推奨される準備の目安

  • SNS履歴: 直近数ヶ月~半年程度の中から、日常的なやり取り(買い物の相談や家族の予定など)が分かる部分を数枚(A4で2~4枚程度)ピックアップするだけで足りることが多いです。
  • 補強資料: ボリュームよりも「質」を重視します。家族全員で写っている直近の写真数枚、家族全員が記載された住民票、世帯主(夫)の扶養に入っていることが分かる健康保険証の写しなど、「同居し、生計を一にしている客観的事実」を並べる方が、長年連れ添った夫婦においてはSNSの履歴よりもはるかに強い証明力耐久を持ちます。

③ なぜ「本体者だけ」が先に永住申請したのか?理由書への記載の要否

家族全員が永住要件を満たしていたにもかかわらず、あえて主たる扶養者(本体者)単独で永住申請を行い、許可後に家族の変更を行うケースは実務上珍しくありません。

理由書に書くべきか?

結論から言うと、今回の変更申請(家族滞在⇒永住者配偶者等・定住者)の理由書において、「なぜ本体者が単独で永住申請したのか」を詳細に釈明する必要性は低いです。入管側としては、「現時点で本体者が永住者であること」および「家族がその身分に基づく要件を満たしていること」が審査対象だからです。

今後の「全員での永住申請」を見据えた対応

今回の変更許可が下りた後、近い将来に家族全員で永住申請を予定している場合、今回の理由書はシンプルに「夫(父)が永住許可を受けたため、相応しい在留資格に変更する」旨を記載するに留めて問題ありません。ただし、将来の永住申請の段階では、「家族揃って日本に定住する意思」を明確に示す必要があるため、これまでの在留経緯や家族の状況をストーリー性を持って論理的に説明できるように準備しておくことが推奨されます。


④ 高度専門職からの派生申請――審査期間は短縮される?

「高度専門職」の在留資格は、優遇措置として永住審査などがスピーディーに行われる傾向があります。では、その配偶者等の「身分系ビザへの変更」も同様に早くなるのでしょうか。

東京出入国在留管理局(東京入管)の現状と傾向

残念ながら、主たる扶養者が元・高度専門職であったとしても、配偶者や子どもの「身分系ビザ(永住者の配偶者等・定住者)」への変更審査が特別に優遇されて早期化することは原則としてありません。現在、東京入管をはじめとする主要な入国管理局では、身分系ビザの審査期間が全体的に長期化する傾向にあります(概ね1ヶ月〜3ヶ月、案件によってはそれ以上)。高度専門職の優遇措置はあくまで「本人(および一定の帯同要件を満たす場合)」に紐づくものであり、独立した身分系ビザの審査は通常の審査ラインで慎重に行われます。

まとめ:身分系ビザへの変更は「客観的な実態」の立証がカギ

就労ビザから身分ビザ(永住者の配偶者等など)への変更は、一見すると「家族なのだから簡単に許可が出る」と思われがちですが、入管の審査基準は完全に「身分・実態重視」へと切り替わります。これまでの在留実績(同居期間、納税義務の履行、生活の安定性)を的確に書面でアピールすることが、不許可リスクを減らし、将来の家族全員での永住許可へ繋げる確実な一歩となります。
 当事務所では、高度専門職・永住者のご家族の在留資格変更手続きから、将来的な永住申請・帰化申請を見据えたトータルなコンサルティングを行っております。お気軽にご相談ください

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Satoshi Maruyama