就労資格証明書申請での「履歴書と事実の相違」— 取り下げるべきか?
行政書士の実務において、申請後に「履歴書の記載ミス」や「雇用理由書との整合性の不一致」に気付くことがあります。今回は、日本語能力試験(JLPT)の「取得予定」を「取得済み」と誤認して申請してしまったケースを例にその対処法を解説します。
Q:履歴書の「N2取得予定」を「取得済み」と誤認して申請。取り下げて再申請すべき?
相談内容: 転職に伴う「就労資格証明書」の交付申請を行いました。しかし、提出後に申請人の履歴書を再確認したところ、実際には「日本語検定2級取得予定」とあったものを「取得済み」と誤認して雇用理由書を作成・提出していたことが判明しました。 虚偽申告と思われるのを避けるため、一度申請を取り下げてから正しく修正して再申請すべきでしょうか?
A:原則として「取り下げ」ではなく、「補正(訂正)」での対応が適切です。
結論から申し上げますと、直ちに取り下げる必要はありません。むしろ、速やかに訂正の申し出と上申書の提出を行うのが実務上もっとも誠実でリスクの低い対応です。
1. なぜ「取り下げ」ではなく「補正」なのか?
一度申請を取り下げてしまうと、再申請までに時間がかかり、転職先での就労開始時期や次の在留期間更新に影響が出る可能性があります。 また、単なる「誤認」であれば、審査官に対して自発的にミスを認め、正しい事実を伝えることで審査を継続してもらうことが可能です。
2. 「虚偽申告」とみなされないためのポイント
入管が最も警戒するのは「許可を得るために意図的に嘘をつくこと」です。今回のように、申請受理から数日以内に自ら申し出る行為は不実の記載をする意図がなかったという有力な証拠になります。
3. 具体的なリカバリー手順
以下のステップで迅速に動きましょう。
- 管轄の入管へ電話連絡: まずは受付番号(または申請番号)を伝え、「雇用理由書の記載内容に一部誤りがあったため、訂正書類を提出したい」旨を伝えます。
- 上申書(訂正願)の作成: 「代理人の確認不足により、履歴書の『取得予定』という文言を見落とし、雇用理由書に『取得済み』と記載してしまった」という事実関係を正直に説明します。
- 理由の補足: 「申請人の日本語能力については、企業側も面接等を通じて業務に支障がないことを確認しており、N2の合格を前提とした採用ではない」といった補足を加えると、資格該当性への疑義を解消しやすくなります。


